完全無職生活も二週間を過ぎた。
無気力且つ無欲。
一体自分はどんな化け物に変貌してしまうのだろうと恐れる。
そんな今日のBGMはスタン・ゲッツ。
言わずと知れた、米国生まれの伝説的なジャズサックス奏者である。
別段理由はないのだけど、何となくジャズが聴きたかったのと、たまたまジャズライブラリのボタンを押していたというだけ。そこでチョイスしたのが、スタン・ゲッツの「GETZ/GILBERTO」というアルバム。
名盤と呼ばれたこの一枚は、1964年にブラジルのボサノバ歌手、ジョアン・ジルベルトとスタン・ゲッツが連名で録音し、発表したもの。
因みにスタン・ゲッツというジャズマンは、実を言うと生粋のジャンキーだったりする。
14、15歳くらいから学校へも行かずに音楽活動を始めていたものだから、周囲の悪い大人からの悪い影響を受けまくり、堕落したまま大人になってしまったという。
結局最後はガンで亡くなったのですが、彼は晩年迄麻薬と酒を断つことができなかったと言われています。やはり天才は何処か欠けているのだろうね。
で、そんなスタン・ゲッツですが、別段大好きという訳ではないんです。
確かに素晴らしい作品が多く、とりわけジャズに固執しないその音楽スタイルは、ジョン・コルトレーンがジャズ界を席巻する迄の間、オンリーワンの存在として崇められたと言われた程斬新且つ異端。その感覚が好きというかね。
ライブ盤を聴き分けると気づくと思うのですが、この方、結構ステージ毎にテンションが違うというか、上手い日と下手な日。つまり、やる気の有無が思い切り演奏に出てしまうタイプだった様で、余りにあからさまな演奏を聴いてしまうと、なんかなぁとがっかりしてしまうというかね。
その中でもよく聴くアルバムはベタですが名盤と呼ばれる二枚。
一枚は冒頭で挙げた「GETZ/GILBERTO」。そしてもう一作が、かの作家ムラカミ・ハルキ氏もお気に入りだという「focus」。
どうでもいいけど村上春樹さんって音楽をチョイスするセンスが良いと思います。
彼のフィクション作品はあまり好きにはなれなかったけど、ジャズについて語っているエッセイは悪くなかったです。まさかポール・モーリアが好きだとは思わなかったけどね。なんかイージー・リスニングをバカにしていそうな気がして・・。偏見かな。
まあそんなこんなで昨日から久々にジャズ漬けです。
クロスオーバーというより、ゴリゴリのクラシック・ジャズばかり。
今日はオスカー・ピーターソンの「Night Train」で目覚め、それをリピート。
既に6周回している。
しかし、それ以外語ることはない。
無味乾燥な一日が、今日も始まってしまった。
そう言えば凄く気になることがある。
敬愛するジム・ジャームッシュ監督の名作「コーヒー&シガレッツ」の一節「ルネ」という話に登場するルネ・フレンチという女性。
この女性が死ぬほどタイプだったりするので、ある時不意に彼女について調べてみたのだけど、全く詳細がわからないというね。女優でもなければモデルでもない様で、どうやら監督かスタッフの親しい方なのではないかと推測されているそうです。
マルボロ・メンソールライトの100Sを美しく嗜むその姿に、一目惚れとも言える衝撃的な一撃を脳天に喰らったっけな。渋谷のシネクイントでのことだ。
ルネに会いたい。
できればこの生活から、僕の手を引いて抜き出してくれないかな。
さて、クソつまらない一日を空気の様にやり過ごすとしますかね。
どなた様も良い一日を。