長いこと、観たかった夢を観た。
とは言え、大してドラマティックな内容ではない。単に中年カップルが過去を美化し合い、少ない余生を共に生きようと誓い合いながらまぐわう。
ただそれだけ。
40代も半ばに差し掛かれば、目標や願望のいくつかを諦めなければならなくなる。
例えば、真っ新な転職。
つまり、知識や経験のない職業に、憧れと興味だけを武器に飛び込むこと、である。
伸びしろも少ない中年風情は、これまで培った諸々を応用して働いて行く他、道はないだろう。
何せ残された時間は幾ばくもない。
なんて、無味乾燥な毎日を送るあまり、ややひねくれているのかもしれないな。
転落してから9年目。
未だ貧困に喘ぎ、活路を見出せない日々が続いている。
多くの欲を捨て、誘惑を断ち、ひとり鎖国状態の今だからこそ、欲望丸出しの下世話なポルノみたいな夢を見たのだろう。
とは言え、私にとってはアカデミー賞モノの素晴らしい作品だったことは間違いない。
意味こそ違えど、起きて間もなく涙が出てきたもの。
へば。