金が無い生活に慣れてきた。
彼此もう10年になる。
時代遅れの古着とスニーカー。そして数本のレイバンが、精一杯の若作りアイテムだ。
別宅、外車、そして我が城とも言えた小さな自社ビル。それら全てを失って、残ったのはほんの僅かの財産のみ。それも、値段が付かないほどに錆びれた諸々だ。
給料日に残高がゼロになる生活を続けているうちに、自然と頭を抱えることがなくなりつつある現状に、怖さすら覚える。
でも、まだこれからなんだと強く思えば、今の辛さは半減してしまうから、思い込みとは怖いものだ。
今更、将来どうなりたいもくそもないが、せめて人生にある程度の満足感と多少の富を得てから死にたい。
金が無くなったと同時に失った、取り巻き達から教わったのは、それらの重要性に他ならない。
コロナ禍の今、誰もが生き方や考え方を根底から見直さなければならないまでに追いやられているが、そんなピンチこそ、都落した元成り上がりにとっては最大のチャンスと言える。
上場企業の代理店に辞表を叩きつけ、再び上昇気流に身を乗せるその日が来るまで、もうしばらく臭い飯を喰い続けるとしよう。
待ってろよ。
最悪な今日こそ、良い夢が見られますように。。
おやすみなさい。
へば。