最愛の息子の亡骸は、今も僕の目の前にある。
安置所に連れて行く男を追い返し、強引に引き取り日時を変更したのが今日の朝の事だった。
「お気持ちはお察し致しますが、明日の午前中にはお預け頂かないと、葬儀までに準備が間に合わなくなるので、、、」
そう言い放つ業者に、頼むから明日にしてくれと告げ、未だに離れられないままでいる。
大好きなトムのGood old world を流しながら、14年分の思い出を独り言で語り続けている。
命は儚く、刹那的なものだ。
それなのに、誰かを幸せにする術も知らず、それどころか、幸せにしてあげられる富や素養すらない自分が、彼を満足に育てるなんて無理な話だったんだろうなと思う。
陳腐で安っぽい人生だったが、近しい存在に助けられながら、どうにかこうにかやってきた。
懺悔と後悔の連続だ。
血を吐くまで酒を呑み、死にたくなる程自身の道程を悔やみながらも、落ちこぼれは今日ものうのうと生きている。
落ちこぼれの逆襲を、私の床で眠り続ける最愛の息子の亡骸を抱きながら誓った、平凡な一日。
きっとそのうち、良い事は訪れてるさ。
そう思わないと、発狂してしまいそうだ。
有り金全てを酒に注ぎ込む自分は、今や地に落ちた。
今夜はトムの曲を一緒に聴きながら、朝まで一緒にゆっくり眠ろう。門出を迎えるその時間まで、ゆっくり、ゆっくりと。
おやすみ。