あと二週間で完全な無職と化す45歳。
未だ仕事は決まっていない。
さらにここにきて、最大の不幸に見舞われる。
我が命よりも大切な愛犬が、昨日突然他界したのだ。
経緯は割愛する。
思い出すと発狂してしまうだろうし、何より理性が保てないだろうから。
つまり今はギリギリの精神状態でこれを書いている。
馬鹿みたいに不幸自慢か?
悲劇のヒロイン気取りか?
なんて思った奴は、必ずレバーブローを喰らわしに行ってやる。
しかし、悲しみが深い程、涙って流れないものなんだなと知ったよ。
確かに亡くなった直後は、ダム程の涙を流したものだが、もう今は涙が出てこない。枯れたってのはこういう事なのだろうか。
回顧。
彼と過ごしたこの14年間は、決して楽しいことばかりではなかった。
言うなればジェットコースターみたいな日々で、富を得たり失くしたり、愛する人からの愛情もまた然りといった具合にだ。
人も随分離れていった。
金が無きゃ、人間なんて無価値か?
と思ってしまう程に。
また荒れてしまいそうだから、嫌な出来事を回顧するのはやめよう。
今は彼の亡骸に寄り添って、やめていたお酒をがぶ飲みながら、男同士で楽しかった日々の彼是を語り合っている。
彼がいたから、俺は優しい人間になれたし、人の痛みや苦しみを理解しようとするノーマルな感覚を手に入れることができた。
ある意味、妻以上に重要な役割を担ってくれた気がしてならない。
かつてしばらく自宅を離れた際、彼は毎晩のように俺のベッドで鳴き続け、玄関で物音がすると飛んでいっていたそうだ。
たった数ヶ月。
その間俺も、彼が恋しかった。
妻より抱きたいと思っていたのは彼だった。
彼というか、息子なんだけどね。
今は未だ、かつての写真らを見ることは出来ない。わかりやすくペットロスに陥ってしまったから、当分自分の殻に閉じこもることに決めた。
まあ就活はやらなきゃだが。
でも、こんなにキツいものだとは思わなかったよ。
今はまだ隣にいるからいいけど、彼は明日の朝に自宅から出て行くことになっている。
週末の葬儀まで、自宅じゃない場所で待機させられるらしい。
見送るのは自分だけ。
そりゃ他の家族に辛い思いはさせたくないから、敢えて自分がいる時間に連れて行ってもらうことにした。
思い出や言葉は溢れて止まないから、この辺で筆を置こう。
星の数以上、彼に感謝している。
そして、誰よりも深く愛している。
それは間違いない。
だからこんなに悲しいんだよね。
14年間、ありがとう。
そしてお疲れ様。最期はよく頑張ったね。
君のパパでいられた幸運に、心から感謝しているよ。
ミックへ。
無限の愛を込めて。
合掌