ああ、もう無理だなこれ。
そう唐突に思った。
吹けば飛ぶ様な小さな会社だったが、経営者時代が自分のピークであり、あの時の諸々を凌駕するのは無理だ。
賞与は出ず、業績不振で給与もカット。さらに色々と差っ引かれて、口座に残るは数千円。
払うべきものも払えず、仕事よりも催促の電話応対の方が忙しいという現状。
40を過ぎてこの超下流生活は、心底つらい。
こんな暮らしをもう10年近く続けていると、たまに全てを捨てて逃げたくなる。
が、それはできない。
年齢的に希望の転職先に就ける可能性は低く、待遇の悪さ故にやる気を失くし、挙句低所得のままそこにだらだらと居続ける。
いやもうホントに疲れた。
会社、家族、友人からも距離を置かれ、心の拠り所など皆無な今、こんな暮らしは永遠には続かないから頑張らなきゃなんてポジティブになれる筈もない。
無様で惨めな大人になるなんて、子供の頃は考えもしなかった。
妄想の中で煌びやかな成功者になった自分の未来を、何度想像したか。
暮らしも心も豊かで、何不自由なく生き続ける己の姿しか思い浮かばなかった。
しかし、現実はこれだ。
春になれど、夜の公園は寒いものだ。
しかし、会社へ行くより家に帰る方が気が重い。
もう少しナイーブなら、自暴自棄にもなれたのに、強情な上に未だ安いプライドを捨てられないから、まだ完全に心が壊れない。
まあ、こんな醜態を晒しておいて、プライドも何もないんだけどもね。
ああ、疲れた。
いやもう疲れた。
さて、今夜はどこまで歩こうか。
多分映画にできるな、この人生。
まあこれ以上の辱めを受けるのはまっぴらだから、自分でも書かないだろうけど。
強制終了も直近だな。
じゃあ。