天命、そして伝説へ。

アラフィフのサラリーマンライター『椎間板』が、終末までに高所得者へ上り詰めるまでのプロセスについて書き綴っていくという、完全自己満ブログです。

懐古厨。

年末年始になると、どうしても人の多い所へ出かける必要が出てくる。
 
人混みが好きな方など居ないだろうが、僕は何よりもそれが嫌いなのだ。
 
渋谷や池袋は勿論、新宿なんて人の赴くところだと思っていないので、随分と昔から敬遠している。 
 
とは言え、新宿では若かりし頃にバイトをしていた経験があるし、何より今の勤め先は「ほぼ渋谷」に位置している。 
 
あべこべだがそれは不可抗力。 
 
仕方がないとあきらめて、生きる事を優先しただけの話だ。
 
しかしながら年末の何とも言えないもの悲しい雰囲気はとても好きで、カラッとした冷気に身体を押されながら、目的地なくのんびり下町あたりをひた歩くのは悪くないもの。
 
特に好きなのは浅草や都電沿いの田舎道、さらには千代田区あたりのさびれたオフィス街なんかも歩いていて気持ちが良い。
 
何といってもその周辺には、僕がかつて勤しんだ会社がある。
 
高田馬場や九段下、そして神保町。
 
まあ誰が見ても出版系しかない町ばかり。

駆け出しからキャリアになるまでの間、僕はそれらの街で過ごしていた為、積み重ねた思い出が多く、久々に訪れると少し泣きそうになってしまう。
 
特にこの時期にその辺を歩くと、無性に過去へ戻りたくなるのは不思議なものだ。
 
呑まず食わず寝ずの日々は本当に過酷で、どれ程大きな版元・プロダクションでも、編集者という職業は一様に「ブラック」なもの。 
 
その上給与もベラボーに安い為、四重苦を背負って死にそうになりながら生きていたあの時代に戻りたいなんて、単なるドМそのものだ。

でも、尊い時間だったと、心から思う。

完全に懐古厨発言ととられるだろうが、多分自分は懐古厨だと思う。

とは言え過去を美化している訳ではないし、思い出したくない事だって山ほどある。
 
何か違うのか? そして何が物足りないのか? についてよく考えてみたら、僕の場合は「仕事内容」に不満があるだけなんだなと。

とにかく仕事が楽しかったという一言に尽きるなと。

だったら編集者に戻れば? って話になると思うのだけど、今の出版業界は、10年前よりさらに状況が悪化していて、大手の版元ですら賞与の支給が止まるレベル。
 
そこに戻るくらいなら、生活の為にITに魂を売る方を選びますよね・・・。

建前でもなんでもなく、今の仕事をしているのは生活の為です。

それ以外の何物でもありません。

自分が死ぬ時に色濃く思い出すのは、きっと編集者時代の事ばかりなんだろうなと。

どんな本を作っていても、どれだけ嫌いなタレントをインタビューしていても、校了前夜に2万字強もの原稿を追加する羽目になったとしても、僕は編集者の仕事が好きだった。
 
僕は一度会社経営に失敗しているのだけど、もう少し状況が落ち着いたら、また編集プロダクションを立ち上げたいなぁという、淡い夢を抱いている。

実現したとしても、利益は薄いだろうけどね。

成功者にはなれないけど、それが今一番大きな仕事の目標かな。

とりあえず年末休みには一人で浅草に出かけようと思う。
 
企画ネタが出ず、原稿が書けずに悩みながら歩いたあの道の轍を、今更ながらもう一度踏み返してみたいなと。

完全に懐古厨だな。。。
 

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懐古厨イメージ。